【パワハラ被害者の声】『フリーランス・ハラスメント実態アンケート』に参加した女性の話

この記事をシェアする
その場で話がコロコロ変わる大ウソつき
その場で話がコロコロ変わる大ウソつき

今年7月から8月にかけ、日本俳優連合、MICフリーランス連絡会およびプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が、フリーランスとして働く人々を対象にハラスメントに関するアンケート調査を実施しました。1,218名の切実な訴えが厚生労働省に提出されたことをご存じでしょうか。



いまだフリーランスには適用されない状態ですが、今年5月には「ハラスメント防止法」等も成立しています。そして、このたびのアンケートをもとに2019年9月以降、労働政策審議会雇用環境・均等分科会においてフリーランスについても必要な防止措置が講じられるかもしれないとのこと。大きな前進を期待したいものですね。

以前、『エトセトラ』のパワハラ被害者・インタビューに応じて下さったCさんが、フリーランス・ライターのEさんを紹介してくださいました。あるウェブサイトで執筆していたEさんは上司である女の編集長によるいじめの標的にされ、心外な形で仕事を失いました。フリーランスの権利やパワハラに関する記事をまとめた『フリパラ』というブログをたびたび訪問するなかでアンケートの実施を知り、参加したそうです。

―――――――――――――――
星谷:Eさん、今日はインタビューに応じていただき、ありがとうございます。アンケートにはどのようなお気持ちで臨まれたのでしょうか。

Eさん:私の場合、ある女の編集長によりイジメや仲間外れの被害にあい、嘘や悪意の噂を内外に流布され、人格までボロボロに否定された挙句に追放されました。「外部発注ライターなど粗末にしても大丈夫、何を言っても構うものか」という彼女のふざけきった感覚が許せず、そのあたりを伝えるためアンケートに参加しました。

星谷:思いの丈を全部ぶつけることはできましたか?

Eさん:うーん、3割くらいです。たくさんの不愉快な経験をしたのですが、やはり誰にも共通するような無難な内容になってしまったような気がします。アンケートに自由回答欄があったのですが、相談していた弁護士さんが「これは後々のためにとっておきましょう」と助言をくださった部分については、そこには書けなかったですし…。

星谷:その編集長との間で、具体的にはどのようなトラブルがあって辞められたのでしょうか。

Eさん:あるPR事業に派遣されたのですが、示された参加条件、特に会社への報酬が入らないこと、記載義務の内容などを編集長がしっかりと確認していなかったのか、途中で編集長と広告代理店の間にトラブルが発生し、自己正当化に走った編集長は記事を担当したライターの私が悪いと言い出し、完成した記事を長期にわたり放置したのです。おまけに「Eは広告代理店からこっそりとマージンを受け取っている」などというあり得ない嘘を編集部全体に広め、広告代理店の担当者さんをメールで愚弄し、私は心外な形でクビを言い渡されました。

星谷:すごい嘘つきで横暴な方ですね。しかも感情的です。

Eさん:元からですが、編集長は誰かに何か意見をされると烈火のごとく怒る人で、全身が震える、過呼吸だ、パニック発作だ、絶叫だと何かと大騒ぎする人でした。その場その場で話がコロコロと変わるし、自分を正当化するためならどんな嘘でも平気でつくのです。私も広告代理店の担当者さんもまさにその「地雷」を踏み、超短気な発火装置に火を点けたことになりますね。

星谷:大変ですね、そんなことでは。そのトラブルを知っていらっしゃる方は今もその会社で働いているのですか? 怖がっているでしょうに。

Eさん:今も残って頑張っておられる方はいますが、「Eの二の舞を踏むのはイヤだ」という警戒感があるでしょうから、心を無にして仕事だけ淡々とこなそうと心掛けているのだと思います。

星谷:報酬などの面で差別的な待遇はありましたか?

Eさん:ありました。皆さんにものすごい額のインセンティブが支払われ、でも私にはゼロ。そのカテゴリーでは一番のベテランだったのに、私のボーナスは新しい方たちより30%以上も低く、年間で数十万円の差をつけられ、それを知った途端に書く気が失せました。

星谷:当然ですよね。同僚のライターさんたちはどんな反応でしたか?

Eさん:編集長は皆さんになんと「Eには一番多くの報酬を支払っている」と嘘をついていたのです。それに驚き、私は過去1年ほど銀行口座に毎月振り込まれていた金額を同僚ライターに見せました。誰もが唖然としていました。私たちライターは仲が良く水面下であれこれ情報交換をしていたので、全てが筒抜けだったんです。でも編集長がそれをわかっていてやっているのだとしたら、それは独裁者による恐怖の支配と統率っていうやり方でしょうね。

星谷:なぜそんなことをする必要があるんでしょう。何か嫉妬されるようなことなどありませんでしたか?

Eさん:ライター同士はとても仲良しで、皆さんけっこう古参の私のことも慕って下さっていたので、それが気に食わなかったのではないかという話は聞いていました。編集長はいつも自分が中心でナンバーワンでなければ気が済まない人でしたから、確かに。

星谷:ライターが辞める時によく記事の著作権の問題が生じますが、そのあたりはいかがでしたか?



Eさん:契約書も説明もまるでなかったにもかかわらず「契約解除」という形でクビになり、しかも「会社が記事の100%の著作権を所有する」などと言ってきたため、著作権に詳しい弁護士さんに相談しました。そもそも記事も画像もオリジナルではなく元ネタがあり、そちらのメディアに著作権や肖像権があるわけで、そこを突いたところ「報酬を全額返納せよ」とも言われました。しかも反論すると「あなたのすべての発言を弁護士に預けます」と脅迫するんです。ただ呆れました。

星谷:メール、メッセージ、音声など、証拠は残していますか?

Eさん:はい、全て残しています。スカイプでは私のことを「言葉が独り歩きしてしまう頭がオカシい人」のように見せようとしてか、自分の文章に後でちょっと手を加えるなどしていて本当に驚きましたが、ビフォーアフターいずれもスクリーンショットに撮ってあります。リアルタイムで家族と親しい元同僚に見てもらっていたので、向こうは嘘はつけないはずです。

星谷:もし法的措置をとることになれば、証拠も重要になるのでしょうね。

Eさん:はい。私が被害を受けたと証明するためにもとにかく情報を大量に集め、保管してありますが、弁護士さんほか相談した先の専門家にもコピーを提出済みです。

星谷:その上司は事実上会社のトップとしてふるまい、全てを仕切っていたのですか?

Eさん:そうです。辞めた後に内部から漏れてきた話なのですが、会社がスタッフやライター全員に与えていたメールアドレスもすべてその編集長が「検閲」して管理していたそうです。たとえば私が社長のAさん、スタッフのBさんにメールしたとすると、彼らより先にその編集長が開封してしまう。ゾッとしましたが狡猾なあの人らしいやり方です。「キチガイだから」と言う人もいました。

星谷:身の危険とか感じたことはないですか? 大丈夫ですか?

Eさん:はい。主人の友人に警察官がいまして、「私や家族の身にもしものことが起きたらすぐにこの人を、あるいはこの人が雇った誰かの仕業だと疑ってほしい」と住所氏名、ソーシャルメディアほか、知っている限りの情報を全て伝えてあります。何か少しでもおかしなことがあれば、すぐに動いてほしいと…。これは私の前に辞めた複数のライターから勧められたことでした。皆さん、それだけ大変な目に遭ったということです。

星谷:その方に味方は多いのですか? また、そういう方たちは大事にされているのですか?

Eさん:いえいえ…。編集長をひたすら信頼し追従する女性スタッフが1人いましたが、編集長はその人の家庭で起きたDV事件や身体的な特徴なんかを私たちライターに面白おかしくバラしていたのです。本人はそうとも知らず…気の毒な話です。

星谷:トラブルが発生した際に、会社は助けてくれなかったのですか?

Eさん:私もそれを期待しました。それなりに会社の売り上げに貢献してきましたから、当時の社長さんとはずっと良い信頼関係にあったと思っています。励ましやお礼のようなメールをいただいたことも2度ほどあったのです。ところが、編集長はこんなにもオカシなことをやっているのになぜ助けてくれないのか最後にメールした私に、冷たい返信がありました。ショックを受けましたが、その文章は編集長が社長に成りすまして書いたのではないかという噂が耳に入り、「さもありなん」と苦笑しました。

星谷:社長とその編集長の関係は悪くなかったのですか?

Eさん:よくわかりませんが、当時の社長は気持ちの優しいもの静かな人でしたし、一方の編集長は傲慢で短気でとんだ浪費癖があるというのはライターの間でもかなり前から有名でしたから、両者がうまく行っていたとは思えないですね。

星谷:Eさん、その頃は孤独な闘いだったのですか? 精神的にも大変辛かったのではないでしょうか。



Eさん:もちろん心身の調子は崩しました。ひどい胃痛と不眠に悩み、病院にも通いました。でも元同僚の皆さんが励ましてくれましたし、弁護士さん、そして相談ができる組織や関係当局には手あたり次第相談しましたから、気持ちは徐々に晴れていきました。

星谷:Eさんご自身は現在はどうされていらっしゃるのですか?

Eさん:今は別の会社で執筆しています。そこは大手で所属ライター数が多いため休日もちゃんと取れます。これは大事なことです。人数が少ないと「自分が頑張らなくちゃ。絶対に休めない」みたいなプレッシャーがついて回ります。そこでは「いつからいつまでお休みを頂戴したいと思います」「はい、承知しました」でスンナリと…。こんな世界があるなら、もっと早く辞めてしまえばよかったと思いました。

星谷:それは良かったです。転職されるにあたっては、どんなことに気を付けて探したのですか?

Eさん:何といっても財力があり、コンテンツが充実していて知名度があること。スマホユーザー向けにすでにアプリを持っていることです。また今どきは安定したシステムの維持と更新が大事になりますから、そちらのスタッフが常任しているサイトでなければと思っていました。

星谷:なるほど…。ほかに気を付けたことはありますか?

Eさん:あります。次は博識で尊敬できる上司の元で仕事をしたいと思いました。またモチベーションを上げるため、絶対にあの会社より報酬が高い先で執筆しようと思いました。出版社、雑誌社、新聞社、ニュースウェブサイトとあれこれリストアップして…。早く仕事に復帰したいと焦ってしまう気持ちを抑え、半年以上かけてじっくりと的を絞っていき、それからコンタクトを。心配してくれている仲間には、決まるまでずっと内緒でした。

星谷:ずいぶん時間がかかったのですね。その理由を教えていただけますか?

Eさん:はい。「1日に何本書いてもよい」という会社にこだわり、それが叶う先が意外にも少ないからです。例えば「1週間で5本程度」という条件だと、そう収入にはならないんです。なおかつインセンティブ、ボーナスより、やはり1本あたりの基本的な報酬が高いことが大事になると考えました。

星谷:元の上司や会社を見返してやりたいって気持ち、やはりありますよね。

Eさん:じつは私の後に、それこそ優秀なライター3名が次々と辞めたんです。その方たちは今は別のウェブサイトで執筆し、相当のアクセスをとっています。つまり戦力と収益が外に流れ出てしまったわけで、おそらく門外不出のはずの「企業秘密」も漏れ出していると思うのです。傍から見ればそれはトラブルを容易に起こしてしまう編集長のせい。人を傷付け、貶め、恨みを買い、周囲をウソで騙す。

星谷:企業秘密といいますのは…!?

Eさん:テレビ・ラジオ局、配信先の大手ニュース・ポータルサイトといった関係先に、嘘の取材歴やライター情報を盛り込んで誇大に報告して仕事を得ていましたし、さらにでっちあげの現場リポートでお茶の間を騙したりということもやっていました。そういう嘘やヤラセをライターたちは知っていましたから、編集長への嫌悪感とともに辞めて他社に移れば、当然その人たちから話は漏れて広まっていきます。編集長にはライターやスタッフの持病、旦那さんの職業、家庭内の事情など、決して口外してはならない個人情報を好き放題ばらまく悪質さがありましたから、自業自得ですよね。

星谷:人を大切にしない組織にありがちな話ですね。とにかくEさんが以前よりも良い状況にあると伺って、嬉しく思います。アンケートに関しても、皆さんの声をもとにフリーランスの法整備がどんどん進むとよいですね。本日はありがとうございました!

【インタビューに応じてくださったEさんが危害を受けることのないよう、インタビューの途中に時折出た企業名や個人名は、Eさんのご了承を得て省略・削除しました。ご了承ください。】

****************
エトセトラでは、皆様のパワハラ体験談をお待ちしております。文章にまとめることが苦手でも大丈夫。匿名のインタビュー形式であなたの気持ちを吐き出してみませんか? 謝礼などはございませんが、それでもよろしければこちらのメールアドレスにご連絡ください。皆様のご応募お待ちしております。

info@etcetera-japan.com
****************

(Kayla星谷/エトセトラ)

【こちらの記事もどうぞ】
【パワハラ被害者の声】重要な相談をしてトップの逆鱗にふれ、突然クビに
上司が卑怯で大嘘つき いじめに耐え兼ねたターゲットはどうするべきか
【パワハラ被害者の声】「大嘘つき」 契約書さえなく1本100円で書かされた若手ライターは激怒
海外メディアも注目する職場問題 「スタッフの悪口を言う上司は駄目ボス」
【パワハラ被害者の声】体調まで崩し辞職するも転職に大成功したケース