日本の国民はやはり損している…!? 他国における放送受信料の事情

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テレビも実はなかなかの金食い虫? (画像はイメージです)

日本放送協会(以下NHK)が2018年度決算を発表したが、受信料収入が7,122億円(前年度より209億円増し)という膨大な数字であることに、「そんなに取ってどうする気?」などと国民がざわついている。受信料徴収システムが合憲という裁判所の判決がこの傾向を後押ししているようだが、3月には徴収の対象がテレビを持たないスマホやパソコンのユーザーにまで拡大されるとの閣議決定がなされた。こうなるとテレビのスクランブル化どころの話ではない。国民の間でまたしてもくすぶり始めた受信料に関する不満。ここで気になるのは外国の国営放送における受信料や徴収のシステムである。



筆者はこの記事を書くにあたり、放送受信料に関する不満について海外メディアの記事をインターネット上で探してまわった。しかしアメリカ、カナダ、オーストラリアなどからはまるで見つからない。これらの国々では国営放送がCM収入で成り立っており、国民になんら負担をかけていないからだ。日本のNHKが受信料ゼロになる日は決して来ないことを考えると、最初に比較すべきは国民が支払う受信料にすべて依存という状況が等しい英BBCであろうか。

日本、そしてデンマーク、スウェーデン、ノルウェーといった北欧諸国の国営放送と同様に、BBCは国民からの受信料だけで成り立っており、広告収入を持たない。国民から「TVライセンス料(TV licensing fee)」という名目で、カラーなら年間2万1千円ほど、白黒なら年間7千円ほどの受信料を一括払いや分割払いにより徴収している。一世帯に何台テレビがあろうと同じ料金で、75歳以上の高齢者には割引制度がある。

これは初めてテレビを購入した時に支払い手続きを始めるもので、そのライセンス番号を生涯にわたり使用することができるが、テレビでなくてもPC、スマホ、タブレット、DVDレコーダー、コンピューターゲーム機を購入するとやはり受信料支払いの義務が発生する。その場合、すでにライセンス番号を持っていればそれを記入することになる。日本円にして14万円ほどの罰金制度もあるせいか、国民の受信料支払いは100%に近いそうだ。

BBCの設定している年間受信料は決して安くない。ただしBBCはラジオとテレビ、アナログ・デジタル両方においてイギリス国民の暮らし全般に大きく寄与している。たとえばテレビのチャンネルだけでもこんなにあるのだ。

BBC One NHK総合テレビに相当
BBC Two NHK教育テレビに相当
BBC Four ドキュメンタリー番組
CBBC 子供向け
CBeebies 乳幼児向け
BBC News Channel ニュース
BBC Parliament 議会の中継および討論番組
BBC World News 海外のニュース
BBC Arabic アラビア語放送
BBC Persian ペルシャ語放送
BBC HD ハイビジョン放送

話は日本のNHKの衛星放送に移るが、筆者の身内は「再放送のドラマが多いし、大リーグとかアメリカンフットボールは見ていてもわからないし、何より高いから」という理由で、衛星放送の分は早いうちから解約していた。やはり受信料を徴収するからには国民が広く納得するチャンネル構成、番組構成に努めていただきたいものである。

またBBCとは異なり、欧州ではドイツ、フランス、イタリアなどが国営放送でもCMを導入することで国民の受信料負担を減らしている。CMを見るかわりに負担が減るのはありがたいと考えるのか、それとも負担額が大きくてもCMは不要と考えるのか、それぞれの国が民意を反映した国営放送の運営を心掛けているのだろう。

2017年、BBCニュースは受信料の徴収率についてポーランドが35%と実に低いことを報じていた。イタリアの74%も低いとしているが、実はその次に悪いのは日本である。もちろん都道府県ごとのバラつきはあるが、世界から“誠実で真面目な国民性”といわれてきた日本人が意外にも受信料の支払いに抵抗を続けているというのは、やはりスキャンダラスな事件の報道が多いNHKに対する不満も働いているのかもしれない。また、「料金がリーズナブルとは言えない。高すぎる」という声も相変わらず多いようだ。

続いては、徴収の方法についてである。

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