<元外資系CAその世界を語る>Vol.27 お客様から学んだこと 日本人旅行客にみるオバチャンたちのたくましさ

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オフを利用してベネツィアへ(Photo by 佐藤めぐみ)
オフを利用してベネツィアへ(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~

私がいたエアラインでは、日本線には日本人クルーが3名乗務していました。外国籍のクルーは全くといってよいほど日本語を話せません。大手旅行会社によるヨーロッパツアーの乗継便として多くの日本人の皆様にご利用頂いていますが、オバチャンたちはそんな外国人クルーに物怖じすることなく日本語で話かけておられます。「日本の航空会社じゃなきゃ」などと言わず外資系エアラインを利用して下さるのも、このオバチャンたちの「何とかなる、大丈夫!」という心意気のおかげだといつも感謝していました。今回は、機内でも惚れ惚れするほどたくましいオバチャンたちについてのお話となります。



たとえばお食事のサービスが始まると、ご主人であろうオジチャンたちはドキドキしていることが伝わってくる硬い表情で、しかも小さめの声で「ウォーター、プリーズ。えーっとチキン。チキン・ウィズ・ライス」と英語を使って話をされます。ところが奥様であろうお隣のオバチャンはあくまでも日本語。「どっちがいいかなぁ、んじゃチキン。あとはパンね。飲み物は~、ビールはどんな種類があるの?」と質問されます。外国籍のクルーもその後、「同じような単語を繰り返し聞いているうちに、なんとなく日本語を理解できるようになった。ブレッドはパン、ビアじゃなくビールなんだね」と喜んでいるため、オバチャンたちの堂々とした日本語でのやりとりは実はとても有難いことなのです。

もっとも「私さ、さっきトイレに入ってトイレットペーパーを最後まで使っちゃったの。だから補充しておいて。もう紙が無いからね」とか、「この遅れの感じだと到着は何時ごろになるわけ?」などと尋ねられると外国人クルーは完全にポカーン、お手上げです。その表情を見て、オバチャンたちは「あら、なんだか伝わらないわ。もういい、オッケー、オッケー!」と言って笑って去って行きます。またオバチャンたちはちょっとした英会話にトライする時も、旦那様のように小声ではなく堂々と話されます。通じなくても凹むことなく「だって旅の恥はかき捨てって言うでしょ。わぁっはっは!」と豪快に笑い飛ばします。奥様たちはこのたくましさと度胸を渡航先でも発揮され、旦那様の数倍も密度の濃い、楽しい旅を満喫されることと思います。

ご夫婦での海外旅行といえば、こんなことがありました。やはり日本線でのお話です。食事のサービスが終わると私達クルーも食事をとります。食後にコーヒーを飲んでクルー同士でおしゃべりに花を咲かせていたところ、60代と思われる男性のお客様がギャレーに。

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