<元外資系CAその世界を語る>Vol.26 お客様から学んだこと カルチャーショックの連続【その1】

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ローマの「トレヴィの泉」で(Photo by 佐藤めぐみ)
ローマの「トレヴィの泉」で(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~

世界の国々にはその独特の生活習慣、マナー、流儀、価値観などがあり、機内において「世界の一般常識」などというものは通用しません。いえ、存在もしません。私達が普段見慣れている物や飲食物でも、発展途上国に暮らす皆さんにとっては初めて目に、口にする物なのかも知れない ― そんな気持ちを忘れてはならない3年間でした。今回はそのあたりについて触れてみたいと思います。



■おしぼりを不思議そうに眺めるお客様

機内ではお食事の前にはおしぼりを配って歩きますが、手をそのようなもので清潔にするという習慣がない国のお客様は、不思議そうにそれをじーっと見つめ、隣の席の方の仕草を観察し、尋ねたりもします。また、レモンのいい香りが含まれているためおしぼりを口に入れようとするお客様もいました。そのような時に「食べ物ではありませんよ」などと言えば、その方の自尊心を傷つけてしまいます。そっと近づいて軽くジェスチャーで手を拭くようお伝えしたものです。

■インド国籍のお客様の「イエス、イエス」に振り回される

イエスかノーで答えていただく質問をすると、インド国籍のお客様の多くは頭に2回「イエス、イエス」をつけるのです。それに続いて肝心な質問に対して「ノー」とおっしゃるため、「えっ、どっちなの~?」と多々戸惑いました。“Chicken or fish?”とお聞きしても“Yes, yes, chicken”とおっしゃるので、たぶん何か聞かれたらまずは「はい、はい」と答えるという感覚なのでしょう。

やっかいなのが食後のサービスで、コーヒーか紅茶かを尋ねる時でした。“Tea or coffee?”と聞いているのに、“Yes, yes, tea coffee.”とオウム返ししてきます。何度聞いても“Tea coffee.”と答えてくるため、インドには“Tea coffee”という飲み物がある、と割り切るほかありませんでした。

新米の頃は優しく「コーヒーか紅茶かどちら1つを選んで下さい」と懸命に説明していましたが、初心を忘れるというのは怖いもの。私はいつしか自分の担当するカートのポットに多く残っている方を勝手に選び、涼しい顔をしてそれをお渡しするようになっていました。ひどい!と思われますか? ところが私なんてまだイイ方かもしれません。中には…!?



■驚きの新ブレンド「tea+coffee」が誕生

インド線では、“Tea or coffee?”と聞いているのにお客様が“Yes, yes, tea coffee.”とオウム返ししてくることが多いということをお話しました。インドには“Tea coffee”という飲み物が本当にあるのだろうかと不思議でならなかった頃、あるクルーがとんでもないことをしていることに気づきました。

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