<元外資系CAその世界を語る>Vol.26 お客様から学んだこと カルチャーショックの連続【その2】

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パリのステイでビストロ「Au Pied de Cochon」に(Photo by 佐藤めぐみ)
パリのステイでビストロ「Au Pied de Cochon」に(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~

世界の国々にはその独特の生活習慣、マナー、流儀、価値観などがあり、機内において「世界の一般常識」などというものは通用しません。いえ、存在もしません。私達が普段見慣れている物や飲食物でも、発展途上国に暮らす皆さんにとっては初めて目に、口にする物なのかも知れない ― そんな気持ちを忘れてはならない3年間でした。【その1】では、おしぼり、インド国籍のお客様に関して少しお話してみました。カルチャーショックも様々で“楽しい気づき”もいっぱいでしたが、【その2】では困惑せざるを得なかったカルチャーショックについて触れてみたいと思います。



■「もうダメ…苦笑するしかない」と諦めて接していたのは…!?

それはイギリス国籍を持っているインド人あるいはパキスタン人の男性のお客様です。彼らの注文の多さや態度の大きさには本当に辟易としました。同胞であろうに、「インドやパキスタンは発展途上国。そこで育ったヤツラとオレは違うから。同じように扱わないでくれる?」と、事あるごとに差別意識を剥きだしにして来たものです。たとえば、こんなことを尋ねてくるのです。

“Where is the bathroom for British passport holders?”

なんと、イギリスが発行したパスポートを持っている人向けのバスルームを探しているのです。とりあえず笑顔を返して空いているトイレをお教えしますが、ちょっと不満そうな顔をします。決して言葉にはできませんが、言えるものなら「そんなエラそうなもの、あるワケがない。どの国籍の皆さんも同じようにこの狭いトイレを使うんですよ!」と言ってやりたかったです。彼らのヘンな差別意識にムカッとすることが何度もありました。



■まるでラブホ?なリゾート路線

誰もが憧れる南国の美しい島、モルディブやセイシェルに向かう便には毎度たくさんのヨーロッパ国籍の新婚カップルが乗っていました。ハネムーンのようです。どのカップルも超ラブラブ、幸せムード全開ですからクレームなど滅多に出ません。飲み物がこぼれるなどのトラブルがあっても、笑顔で「ノー・プロブレム」。これには本当に助かりました。

ただ難点が一つありました。ヨーロッパの情熱的な男女は「夜」が待てないのです。機内であってもセクシーな気分になってしまうのか、座席でイチャつき始めるのです。こんなところでコトには及ばないだろうと信じてはいますが、ブチュブチュしている女性の胸がポロリ寸前、あるいはブランケットの隙間から肌が見えて「まさか!」と驚くことがあるのです。幸せそうで何よりですが、とにかく目のやり場に困りました。こちら側にはそれが「プロブレム」でした。

■美しいお姉さんには要注意

目を見張るようなスタイル抜群の美女に出会うといえば、何と言ってもタイ路線でした。体は華奢なのに胸はちゃんと出ており、黒々と大きな瞳がとにかく美しいのです。おまけに話し方もおっとりとして女性らしく、身のこなしがセクシー。ストレートの男性クルーはもうウハウハ大興奮で、同性の私でもポカーンと見とれてしまうような美女ばかりでした。ああ羨ましい~~!

ところが、そのうちに「え、ちょっと待てよ…!?」ということになるのです。トイレに立ったその美女をじっと観察してみると、足が妙に筋肉質で肩幅も広いことに気づかされるのです。よく見れば手も何となくゴツゴツしています。そう、タイからは“オネエ”がたくさん搭乗されるのです。ある女性の乗客に一目惚れしてしまい、自分の連絡先を書いたメモを渡した男性クルーが、それに気づいて「ヤバイッ!」と真っ青になったこともありました。

タイ国籍のスタイル抜群の美女に出会った場合は、どんなに声をかけてみたくなっても一旦冷静になって下さい。手首の骨の太さ、手足の大きさ、肩幅などをじっくり観察することをお勧めします!



■なぜか気難しいお客様が多いイギリス線

国籍事にみるお客様のプライドの高さや気難しさ ― 同僚CAの間でそんな話題になると、ほぼ全員が「イギリス人男性のお客様が苦手」とつぶやいたものです。中には「イギリス往復便への乗務はストレスがたまるからイヤ。仮病を使ってでも休んじゃう」とはっきりと言う者も。きれいな言葉を使えば「プライドが高い」となりますが、言い換えれば「なんとワガママな!」「なんというモラハラ」となります。苦情についても、ずいぶん簡単にキレやすいという印象がありました。

たとえばお食事をサービスする際、エコノミークラスですら「この食事内容ではイヤだ、これが嫌いなんだ、あれが欲しい」「普通のコーヒーではなくカプチーノがいい」「白ワイン頼んだけれど飲んでみたら美味しくない。もっと高級なのにして」「白と赤を両方持って来て。美味しい方を決めたらそれを2つもらうから」など。いつもこんな感じでクルーはてんてこ舞いさせられます。

またビジネスクラスでも同様です。イギリスの男性は大量のお酒を飲むことが多く、歩き方がふらふらしたり呂律が回っていなかったりする様子に、「これ以上はお出しできかねます」とお代わりをお断りすると、必ず「お宅のエアラインに報告するからクレーム用紙をくれ。君の名前とチーフパーサーの名前は?」、「私はゴールドカード・メンバー(フリークエントフライヤー)だよ。こんな最低なサービスを受けたのは初めてだ」といった感じですぐに怒り出します。

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