<元外資系CAその世界を語る>Vol.14 緊張感みなぎる空の仕事 実は多い各種のトラブル

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ロンドンでステイ(Photo by 佐藤めぐみ)
ロンドンでステイ(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~

フライトにおいては避けて通れないトラブルが多々あります。どれだけ飛行機の整備が基本に忠実に正しく行われても、超ベテランパイロットが操縦桿を握っても、また私達クルーが完璧な訓練を受けていても、約33000フィート、時には約40000フィートにもなるはるか上空では何が起こるか分からず、万が一の事態ともなればその後のことは運次第となります。またほとんどの事故は離陸した直後の3分間、着陸前の8分間に起きるといわれています。動揺を避けるためお客様にはお伝えしませんが、コックピットとCAがハラハラしながら真剣なやりとりを交わす事態も稀にはありました。



■悪天候で着陸できず上空を旋回 こんなトラブルも

友人CAが上海行きのフライトで体験したトラブルを話してくれたことがあります。目的地であった上海浦東国際空港上空の天候が悪く、状況が改善されるまで旋回を続けて待たなければならなかったそうです。その間に機体(A機とします)の燃料は減り、飛行可能時間が残り30分を切ったため、航空法に従って機長は管制塔にSOSを送りました。管制塔はすぐに同機の前方を飛行していた中国系エアラインB機に「A機に航路を譲るように」と指示しましたが、これに対してB機の機長が「こちらも燃料切れであと4分しか飛行できない」と返答しました。幸い天候が改善して両機ともなんとか無事着陸を果たしたのですが、調査官が着陸後の両機について燃料の残量を確認したところ、B機はあと1時間以上も飛行が可能と判明し、機長は厳重な注意を受けたのではないかということでした。

また厄介なのが北欧やロシア、韓国、日本など雪国に向かう冬のフライトです。あれほど安全で精密に作られている飛行機でも、雪に対しては非常に弱く、翼やエンジン付近に雪がうっすらと積もっているだけで離陸する事ができません。雪の重みで機体そのもののバランスが崩れ、エンジンや翼部分にある精密な電子部品が正常に作動しないということが生じるからです。

ある飛行機が暖かい国から飛んで来て、雪国のある空港に着陸したとします。その飛行機が折り返し便である場合、しばらく駐機している間にも雪は容赦なく機体に降り積もってしまいますから、出発の準備がせっかく整ってもDe-Icing(除氷)と呼ばれる雪下ろし作業のため、遅延が伝えられることがままあります。De-Icingは雪を溶かすための特殊車両により行われ、強力な風を翼部分に噴射し、続いて特殊な除氷剤を吹きかけるものです。相当な時間を要するため2時間以上の遅延となることがしばしばですが、安全なフライトには欠かせない作業であることをどうかご理解頂きたいと思います。

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