<元外資系CAその世界を語る>Vol.7 クレームはやっぱり怖い

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NYCステイでタイムズスクエアへ(Photo by 佐藤めぐみ)
NYCステイでタイムズスクエアへ(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~

お客様からのクレームや突きつけられる難題は、実は毎回同じような内容が多く、その対処方法はすぐに身について来ます。クレームについても、会社のサービスの質の向上につながる貴重なご意見とそれ以外のものを、うまく聞き分けることができるようになります。正直なところ私にとって最も手強いと感じられたお客様は、たまにいらっしゃる不機嫌そうな表情のツアーコンダクターさんでした。



オーバーヘット・コンパートメント(頭上の棚)にご自分の荷物を出し入れする際、何度でもチャイムを鳴らして私たちクルーを呼び、「私のバッグ取ってちょうだい」、「はい、これ戻して」、「さっきのバッグもう1度取って」などと命じてきます。ついには隣に座っていた外国人のジェントルマンに「その程度のこと、いい加減自分でやったら?」と言われていました。

そして飛行機に遅延が発生した時、ツアーコンダクターさんから「家に帰るのが遅れるとご家族に連絡したいお客様がたくさんいるんだけれど、その電話代を全部おたくで負担して下さいね」と要求されたことがありました。チーフパーサーが対応を交代してくれましたが、「私たちは機内のことには責任を持ちますが、到着後の事に関しては空港のグランドスタッフにお尋ね下さい」と言っていました。お客様のクレーム処理において、グランドスタッフの皆さんは私達クルー以上に大変な思いで働いています。そのことを痛感する日々でした。

また何もかもが気に食わないようで、どんな些細なことにも何度でも注意してくるツアーコンダクターさんがおりました。ある時ついに「クレーム用紙を頂戴」とおっしゃいました。つまり会社に直訴されるのですからタダ事ではありません。チーフパーサーに相談したところ、もう慣れきっているといった表情で「その程度の話でクレーム用紙を渡す必要なんてないわ。今、その用紙を切らしているからと伝えてみて」と返事されました。次々と異なるクルーをつかまえて「クレーム用紙をちょうだい?」と繰り返すそのツアーコンダクターさん。最後には誰も相手をしなくなりました。

ところが話はそれで終わりませんでした。目的地に到着していざ降機という中、彼女は鬼の様な形相で機内中に響き渡る大きな声を張り上げ、「クーレーームよーーうーーしーーーッ!!!」と叫んだのです。こういう状況を目の当たりにすると日本人が眉をひそめるのに対し、欧米人は噴き出してしまうものです。そのため機内のあちこちから大きな笑い声が上がりました。

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