<元外資系CAその世界を語る>Vol.5 初めての乗務 泣いて笑って

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ドバイのアトランティス・ザ・パーム前で(Photo by 佐藤めぐみ)
ドバイのアトランティス・ザ・パーム前で(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~



■新米クルーをいじめると…!?

初めての乗務は、片道1時間半という短距離でありながら食事のサービスがあるフライトでした。あらゆるサービスをテキパキと進め、さっさと終わらせなければならない中、私の押すカートだけやけに時間がかかっているのです。早く作業を終わらせたクルーが反対側から来て手伝ってくれましたが、やはり私だけが遅く、やっとのことでギャレーに戻ると1人のクルーから「Why you are so late…(アンタなんでそんなに遅いのよ)」と言われ、思わず涙がこぼれて来ました。でも泣いている場合ではありません。涙を拭いてさっさと食事の回収に行かなければなりませんでした。

実はそのフライトで、私は重要な事実を知りました。「アンタなんでそんなに遅いのよ」とボソッと言い放ったクルーにとっては運の悪い話です。クルー1人ひとりのパフォーマンスや協調姿勢をこっそりとチェックする、クルーにとっては恐怖の存在と言われているお偉方、“PO(パフォーマンス・オフィサー)”が偶然にもそのフライトに乗っていたのです。チーフパーサーに「皆がついているから大丈夫よ、頑張って」と励まされ、涙を拭いている私にPOが気付き、チーフパーサーと私の3人で話し合いに。その後、POはすぐに先の意地悪なクルーを呼び止め、説教を始めました。彼女がその後どうなったのかはわかりませんが、新米クルーを助けることなくいびったりすることは大きな減点になるそうです。もっとも、この時に味わった屈辱的な経験がその後の私を成長させてくれたことは間違いありません。



■神か仏か! とても優しいチーフパーサーに感動したところ…!?

慣れない時差ボケに心身ともに苦しんでいた頃、特に深夜、早朝発のフライトでは眠くて仕方がないことが多々ありました。ブリーフィングで示された質問にテキパキと答えられないとフライト中にチーフパーサーに呼ばれ、30分から1時間にわたり1対1で質疑応答のテストが行われます。これ自体が屈辱的な話ですが、さらに結果が会社に提出されますから大変なプレッシャーとなります。

そんな中で一度だけ、神か仏かという温厚なタイ人チーフパーサーに出会った事があります。朝3時集合というそれは眠い中でのブリーフィングでした。そのフライトのチームは経験が浅い新米クルーばかりで、訓練で覚えたてということもあり、チーフパーサーがテンポよく放つセイフティおよびファーストエイドに関する質問に、彼女たちはスラスラと答えるのです。それに対して私は妙につっかえてばかりで、質問のレベルを落としてくれてもなおも頭の中は真っ白。彼女はタイ人にも関わらず日本語で「メグ、オハヨウ、起きてー!」と言うのですが、私は「Sorry…」と返すだけ。さすがに後輩クルーがクスクスと笑い出したところ、そのチーフパーサーは「みんな笑っちゃダメ! メグはちょっと調子が悪いのかも知れないでしょう? それでも機内で1番素晴らしいサービスをするのかも知れないのよ。みんな得意、不得意があり、体調にも波があるんだから互いにそれを補い合わなければダメよ」と言ってその場を収めててくれました。

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