<元外資系CAその世界を語る>Vol.4 地獄の訓練

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消火訓練を無事終えて(Photo by 佐藤めぐみ)
消火訓練を無事終えて(Photo by 佐藤めぐみ)

~外資系エアラインのCAとして世界81都市に飛んだ日々~

訓練とは座学が8割、実地訓練が2割といった感じです。はっきり申し上げて地獄の日々でした。全て英語で書かれた約1000ページのマニュアルブックを、2冊まるまる暗記させられます。専門用語ばかりですから分からない単語も山ほど、内容も多岐にわたっています。



■ 訓練期間は1か月半

機内サービス、緊急時の対応や避難の手順、機内の備品や細かいパーツの名称、フライト前のチェック項目、急病やけが、妊娠や出産についての知識、人工呼吸、AEDによる心臓マッサージ、止血法といったファーストエイドを学び、インストラクターが私達訓練生を次々と指名しては厳しい質問を与えてきます。答える際に一文字でもマニュアルと異なる言葉を発すると、「違うでしょう!」と怒鳴られたものです。

インストラクターからの質問に誤った回答をすることが続くと、授業後の「個人面談」に呼ばれてしまいます。ここで「自分はまだ頑張りたい。今後は改善の努力を必ずするつもりです」と前向きな気持ちを伝えられないと、まずい状況となります。シャイなために自分の意見をはっきりと言わない、英語力に問題がある、インストラクターときちんとした会話が出来ない…このような訓練生は必ず目をつけられ、厳しい指導と警告に度々泣かされ、その結果脱落していました。外資系を目指すのであれば、やはり確かな英語力と努力と強い意志が必要ということを痛感する日々でした。

消火訓練では、断熱層が入った防火服を着て消火器を手に火が燃えている個室に入り、火を消し止めます。着水を想定し、プールを利用したシミュレーション避難訓練もあります。飛行機から放たれたスライドでプールに滑り降り、さらにボートに乗りこむもので、CAの募集要項には「最低~メートル泳げること」といった条件をよく目にしますが、水に対する恐怖心がないことと冷静さが求められます。浸水で着衣はひどく重くなりますが、ライフジャケットを着ているため必ず水には浮きます。パニックに陥っている乗客をケアしながら、いかに素早くボートに向かって進むかを学びます。

着衣水泳を無事終えて(Photo by 佐藤めぐみ)
着衣水泳を無事終えて(Photo by 佐藤めぐみ)

■ 試験がある

やがて本番の試験(記述、口述)を迎えますが、ここでも単語を1文字でも間違えるとオーディション番組によくある“Go home”。つまり「失格」です。荷物をまとめて自分の国に帰るはめになりフライトには就けません。訓練合格はその先にあるのです。また、それが受かったとしても安心してはいられません。実際の乗務が始まると新人CAの教育係であるチーフパーサーが目を光らせています。訓練中の「個人面談」でさんざん泣いていた同期のCAは、残念ながら2回目のフライトでミスをしてしまい、本部に報告されて解雇を言い渡されました。

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